*知っておきたい城郭用語(その5)
ここで紹介するのは、お城を理解する助けとなる用語です。
パンフレットや本を読んだとき、つまりこれは何? と悩むことはありませんか?
お城を探訪する時や関連する本を読むときに、役立つ基本語その5を順次紹介していきましょう。
今回は、ずばり「城」についてです。
◎城とは何か
城郭研究家井上宗和氏の
井上宗和『日本の城の基礎知識』(雄山閣出版 平成3年7月5日再版)
によると
【定義】
・城とは人によって住居・軍事・政治目的をもって選ばれた一区画の土地と、そこに設けられた防御的構築物をいう
・狭義の城とは軍事目的をもって選ばれた土地とそこに設けられた防御構築物をいう
【城はどのようにして発達したか】
住居の防備、集落の防備から発達していく住居防御系列(平和願望的動機)の城に対して、二義的な性格として生じてきた、住居とは関係なく全く戦いのためにのみ構築される戦闘防御系列(攻撃的性格)の城が、時代とともに発達していきました。
◎日本の城の起源とも言うべき環濠集落
集落の周囲を堀で囲み、堀や土手に逆茂木を置き、土塁に柵を設置したり物見や横矢用に一部を張りだたせたりして、防御機能を強化しています。
例としては佐賀県の吉野ケ里遺跡が有名ですね。
「日本100名城」(第88番)に選定されています。
◎地形による分類
1 山城(やまじろ)
山城には以下の3つがあります。
- 連峰の中の一つの山峰または複数の山峰に造られた城
- 独立した山頂に造られたものがあり、さらに城が山上のみに造られたもの
- 山麓まで城地としたもの
三大山城
2 平山城(ひらやまじろ)
平山城には以下の2つがあります。
三大平山城
3 平城(ひらじろ)
平城は平地、盆地あるいは広大な大地で、城の内外に高低のない地域に造られた城です。
多少起伏のある丘陵地の場合など平山城と区分の出来ないもの、あるいは城の中心地がわずかに外郭よりも高いものなどで、平城と称していいような城もあります。
平城では防御の構想をすべて人工の構築物とするか、あるいは付近に沼沢地や河川のある場合、これを防御の考慮に入れるのです。
天然の要害地を利用するのではありません。
平野部に軍事・政治・経済の中心としてきずかれた城で、城下町を含め計画的にプランが練られています。
石垣を含めた城郭技術の進展によって可能となった城といえるでしょう。
【三大名城】
江戸城を別格として、名古屋城、大坂城、熊本城ですが、近代以降は大阪城、姫路城、熊本城 と言われています。
4 水城(みずじろ)
水城と総称されるものはさらに海城、湖城、川城に分かれますが、いずれも防御の主体を海、湖沼、河川においたものです。
【海城】
海岸に構築されたものと海岸に近い島に構築されたもの、海中の小島全体を城としたものがあります。
三大水城
【湖城】
湖の湖岸か湖中の小島につくられた城で、その構造は海城と大差ありません。
高島城、松江城などです。
【川城】
川岸に造られた城です。
犬山城、人吉城など。河口に近い大規模な中洲を城地とした例は、広島城、桑名城、徳島城などがあります。
【参考文献】
井上宗和『日本の城の基礎知識』(雄山閣出版 平成3年7月5日再版)、財団法人日本城郭協会監修『日本100名城公式ガイドブック』(学習研究社2007年7月3日発行)
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