*知っておきたい城郭用語(その3)
ここで紹介するのは、お城を理解する助けとなる用語です。
パンフレットや本を読んだとき、つまりこれは何? と悩むことはありませんか?
お城を探訪する時や関連する本を読む時に、役立つ基本語その3を順次紹介していきましょう。
今回は石垣についての種類・用語を紹介します。
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用語紹介の前に、石垣と言えば、まず述べておきたいのが「穴太衆」(あのうしゅう)です。
穴太衆は比叡山延暦寺の麓大津市坂本を本拠とする石垣積みの専門集団で、もともとは寺院の石工を任されていました。
彼らは高い技術を買われて安土城の石垣を施工し、それがきっかけとなって織田信長や秀吉らによって城郭の石垣建築にも携わるようになりました。
それまで寺社に従属していた技能集団が、信長によって独立することができ、全国の城郭の石垣建築にかかわるようになったのです。
江戸時代には、穴太衆は多くの藩に召し抱えられるようになりました。
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!!石垣の種類・用語!!
では、積み方の古い順(石の加工工程の古い順)に紹介します。
【野面積(のづらづみ)】
石垣の積み方のひとつで、自然石をそのまま加工せずに積み上げるやり方。
もっとも原始的な石垣です。
【牛蒡積(ごぼうづみ)】
野面積みの一種で、胴長な石を用いて、短径面を前面に出し、長径面を奥にする積み方です。
【打込接ぎ(うちこみはぎ)】
石の接合部を加工し、隙間を少なくしたもの。
石材と石材間の隙間には間詰石(まづめいし)と呼ばれる石材を補填して崩落を防いでいます。
【切込接(きりこみはぎ)】
最も新しい積み方で、石の接合部を加工し隙間をほとんどなくした高度な積み方。
最も美しい石垣で、江戸城の切込接の石垣は、それは素晴らしいものです。
!!積み方の種類!!
【算木積】
石垣の積み方で、石の長辺と短辺を段ごとに交互につむやり方。
強度が最高となるため、石垣の隅角部で採用されます。
熊本地震で他の石垣の石が崩れても、この算木積みの隅角部だけで櫓を支えていた映像をご覧になった方がいらっしゃると思います。
【乱積】
さまざまな形で雑然と積んだ石垣。
【布積】
高さのほぼ同じ石を一段ずつ横に並べる石垣の積み方。
【亀甲積】
五角形など亀の甲のような形に加工した石を積み上げた石垣。
!!珍しい石垣の城!!
*兵庫県福知山城
天守台に転用石がたくさん使われています。
【転用石】
戦国時代・江戸時代の城において、築城に際し、当初は他の目的で使用されていた石が石垣に使用されたものです。
安土城の大手筋の石段や奈良の郡山城の石垣、そして今、明智光秀で話題の福知山城の天守台の転用石が有名です。
五輪塔、宝篋印塔(ほうきょういんとう)をはじめ石仏、石臼、灯籠などの石造物が大量に石材として転用されています。
その模様はかえって圧巻とさえ言えます。
転用石を使う理由は以下の2つです。
- 築城に際し、急いで多量の石材を集める為。
- 権力の象徴である築城に信仰対象の石仏などを利用することによって、権力の誇示や城の守護をしてもらうという説もある。
遺構として全国的に珍しい玉石積みの石垣(玉石垣)が残っています。
玉石は、自然作用で丸みを帯びた石のこと。
沖縄では最も高所にあり、その石垣は火山岩(輝石安山岩)を板割りに切りはがして、板瓦を横積みに積み上げたものです。
このような安山岩の城壁グスクは沖縄本島のグスクには見られないものです。
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