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7回目は犬山城、愛知県のお城ですね。
木曽川の南東岸の標高88mの断崖の上にあり、天守からは濃尾平野を一望できます。
最古とも言われている(学術的には未確定)現存天守が、古武士のような風格をたたえて建つ平山城です。
別称は白帝城(はくていじょう)で、2006年に「日本100名城」(第43番)に選定されています。
昭和2年2月20日には天皇陛下が登城され、同10年5月13日に国宝に指定されました。
私が登城したのは1999年5月4日のことで、雨の中でした。
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犬山城を築城したのは、織田信長の叔父・織田信康(のぶやす)です。
江戸時代の尾張藩付家老(つけがろう)成瀬正成(なるせ まさなり)氏の子孫が所有する、全国でも珍しい個人の持ち物としての国宝天守でした。
平成16年(2004)財団法人に移管されています。
12代目城主・成瀬正俊さんと犬山市が協議し、個人所有を続けた場合には古文書などが散逸する恐れがありますが、財団の管理下で文献などの研究が進むことが期待されての英断でした。
現在は公益財団法人犬山城白帝文庫(理事長成瀬淳子氏)のものです。
付家老とは、御三家が将軍に反抗して幕府の体制を揺るがすことを恐れ、目付け役として将軍が自らの側近を任じた者で、成瀬氏は藩主ではありません。
しかし、犬山城35,000石を与えられました。
尾張藩の家老ですが、江戸城での詰所と定席をもつという一国の大名に準じた家老です。
犬山城の縄張りは、本丸から南側に二の丸にあたる杉の丸、樅の丸、桐の丸松の丸を、雛壇のように配置した梯郭式。
曲輪の名前が珍しく木の名前です。
本丸の北側は断崖となっており、その下に木曽川が流れ、天然の要害となっています。
ですから、川岸からの攻城は困難を極めます。
いわゆる「後ろ堅固の城」の典型的な例ですね。
野面積みの天守台の上に、二重の入母屋造りの屋根、その上に望楼を載せた三重四階(石垣の中二階付)の古式豊かな望楼型天守です。
一階は城主の間で、床が一段高くなっている「上段の間」が南面して設けられ、特別室になっています。
北側には武者隠もあり、周りは板の間で武者走りを設置。
二階は武具の間、三階は破風の間、四階には回廊のある高欄の間です。
最上階の扉の両側に華頭窓がありますが、これは実用のもではなく単なる装飾。
一階の腰までが下見板張黒漆喰塗、それより上は白漆喰塗です。
北西隅と正面右側に付櫓を出っ張らせて建てている珍しい形の複合式天守(パンフレットでは独立式と記載)ですね。
天守台にある入り口の防御(横矢掛かり)のためでしょう。
三重の天守は天文6年(1537)頃に築かれたものと言われておりますが、同じ頃に建てられた美濃金山城の天守を慶長4年(1599)に移築したという伝承があります。
しかし、昭和36年からの解体修理の際、移築の痕跡がないことが判明しましたので、この伝承は間違いであることが分かりました。
三階の唐破風は江戸時代の成瀬氏の時代になってから取り付けられたものです。
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犬山城の別称が白帝城というのは、江戸時代中頃の儒学者荻生徂徠(おぎゅう そらい)が、この犬山城の美しさを賞して言ったことです。
荻生徂徠は、中国の長江に面した断崖上に建つ名城・白帝城を讃えた唐の李白の詩にちなみ、白帝城と呼びました。
その雅称のとおり、現在でも秀麗な姿で建っています。
木曽川の観覧船から、1300年の伝統を誇る幻想的な鵜飼と、ライトアップされた犬山城を楽しみたいものですね。
さぞかし美しいものでしょう。
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明治になって廃城となり、天守を除いてほとんどが取り壊されました。
明治24年の濃尾大地震で天守の付櫓や城門が破壊されましたが、同28年天守などの修理を条件に、犬山城は成瀬家に譲渡されています。
それ以後成瀬家の所有となっていたわけです。
犬山城の公式サイトです。美しい風景が見られますよ!
*犬山城詳細
住所:愛知県犬山市大字犬山字北古券65-2
アクセス:犬山遊園駅から徒歩で15分 /犬山駅から徒歩で20分
営業時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
休業:12月29日~12月31日
*本日のおすすめの本「戦国城塞傳」
お城について書いている好きな本、おすすめの本を1冊ずつ紹介していきます。
直木賞作家であり、歴史小説の第一人者である津本陽氏が書いた本で、戦国群雄と城にまつわるドラマが12話です。
この方は信長が大好きなんですね、読みながらしみじみとそう思いますが、ドラマとして読むと大変楽しいです。
[ 参考文献]
平井 聖監修『4 東海 天下人への夢馳せる群雄の城』(毎日新聞社 平成8年12月25日発行)、財団法人日本城郭協会監修『日本100名城公式ガイドブック』(学習研究社 2007年7月3日第1刷発行)、石井進監修『文化財探訪クラブ 城と城下町』(山川出版社1999年7月25日1版1刷発行)、南條範夫監修『日本の城 名城探訪ガイド』(日本通信教育者)、「犬山城パンフレット」他
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