日本のお城が大好きだと叫びたい人の雑記

とにかくお城が好き!日本のお城のアレコレを好き勝手に書きます。※当ブログはアフィリエイト活動を行っています。

かるーいお城の雑学(その14)ユニークな模擬天守

日本全国にあるお城。見ていく中で「ん?」と感じたことを書いていく「かるーいお城の雑学」その14です!

今回はユニークな天守といきましょう。


城跡に、たとえ「模擬天守」であっても天守風建築物を建造することはそんなに変なことではありません。

しかし、筆者が探訪した天守のなかでも「こんな天守を建造してもいいの?」と思うユニークな天守風建築物がいくつかありました。

「模擬天守」とは、資料・古図などで確認できない建物を、観光その他を目的として建造したものや、実在した建物の旧状を無視し、あらたな意匠で建てた天守建築のことです。

では、下の画像をご覧ください。

大阪青山歴史文学博物館

画像出典:大阪青山歴史博物館 | 大阪青山大学


この天守は、大阪青山大学が建造した模擬天守です。

兵庫県川西市を通る能勢電鉄「一の鳥居」駅前に、博物館として建てられています。

川西市清和源氏発祥の地といわれ、多田神社などゆかりの地はありますが、大学が天守風建築物を建造した地域には、天守建築物があったと思われる城跡はありません

おそらく、大学が博物館を建造するに際し、川西が清和源氏発祥の地であることを意識して、天守の意匠を取り入れたのでしょう。

大学が、このような建築物を建造している例を他には知りませんので、唯一だといえると思います。

今回は、そういったユニークな模擬天守の中から、記憶に残っているものを9つご紹介いたします。

①川島城模擬天守徳島県 2005年2月19日攻城)

川島城模擬天守     by:photo-ac

徳島県にある川島城は川島兵衛乃進(惟忠)が築きました。

1585年には蜂須賀家の家臣・林能勝が城主でしたが、一国一城令により1638年廃城となった城です。

現在は川島公園となっている城址ですが、川島城天守は二の丸跡に建造された四重四階望楼型複合式模擬天守です。

1981年に、川島勤労者野外活動施設として建てられました。

二重から三重に突き抜けている大きな入母屋破風、三重目には比翼入母屋破風、四重目には軒唐破風と、天守らしい意匠の実に堂々とした立派なものですね。

1階は「レストラン川島城」、2階は宴会場でした。

さらに徳島県には、勤労者野外活動施設として建造された模擬天守がもう一つあります。

日和佐にある日和佐城ですね。

そちらは私が攻城した1996年7月18日には、天然記念物の赤ウミガメと日和佐の歴史と伝統資料が展示されている郷土館でした。

 

②園部城(京都府南丹市 2021年8月31日攻城)

園部城模擬天守   by:photo-ac

園部城は、但馬国出石から転封してきた小出吉親(よしちか)によって、元和5年(1619)に築かれた陣屋がはじまりです。

園部盆地の中央の小麦山東麓の台地にありました。

城主の小出(こいで)氏は無城主格で、天守や櫓のある城を持つことが許されていませんでした。

慶応3年(1867)に最後の藩主であった小出英尚(ふさなみ)は、孝明天皇皇后の御殿である准后殿(じゅんごうでん)・清和院を警護する市中見廻役となります。

英尚は明治新政府へ帝都守護を理由に園部城の改築を願い出て、それが認められ、城主大名となることが許されました。

そこで、小麦山山頂に天守に相当する御三階櫓、さらに巽櫓や乾櫓、巣鴨櫓、太鼓櫓、そして大手口には櫓門などを建造します。

つまり園部城は、明治になって小出家の長年の願いがやっと叶い築城された「城」でした。

本丸跡には、現在京都府立園部高校及び付属中学校があります。

南丹市が「出会いときずな、伝統と創造のまち」を目指す交流施設・国際交流会館として天守風の建造物を建造するにあたり、そもそも本丸跡には学校があるため、隣の園部公園内に建造したのではないかと私は思います。

大きな入母屋破風のある三重の望楼型複合式天守といえると思いますが、写真をみて分かるように、立派な石垣の正面と隣の建物もガラス張りです。

城郭風とするにはいかにも中途半端な意匠だと思います……少々残念です。

 

③豊田城(茨城県常総市 2005年10月9日攻城)

豊田城模擬天守    by:photo-ac

豊田城は、「石下町地域交流センター」という立派な模擬天守ですが、豊田城跡の石碑は、近くの小具川の堤防の上にありました。

これは五重六階層塔型複合式天守といってもよいものです。

二重目の屋根に大きな入母屋破風、三重、四重目に軒唐破風、最上階には廻り縁が置かれています。

しかし、なんとなくおかしく感じられる姿ではないでしょうか?

私には、無理やり大きな入母屋破風や軒唐破風を加え、天守風に見えるようにしているように思えます。

地域交流センターは、ホールや図書室、石下地方の歴史を紹介した展示室などがある複合施設です。

この石下町では、他の所でも三重の櫓風の建物が見られましたが、よっぽど城が好きな首長がいたのでしょうか……。

 

④河原城鳥取市 2005年5月28日攻城)

原城模擬天守      by:photo-ac

原城があった場所には、かつて丸山城という山城があったようです。

豊臣秀吉鳥取城を兵糧攻めにしたときに、陣を敷いた場所として知られているとのこと。

現在の天守は、平成6年(1994)のふるさと創生事業を機に、町のシンボルタワー、情報発信の拠点として築城されたものです。

内部は郷土館で、河原町の歴史や文化を学べます。

名称は、お城山展望台・河原城、別名若鮎城です。

参考:お城山展望台 河原城|観光スポット|鳥取市観光サイト【公式】 - 鳥取市のおすすめ観光・旅行情報

 

天守は、比翼千鳥破風や向唐破風、軒唐破風、入母屋破風を置いた装飾性に富んだ四重四階望楼型独立式天守で、実に立派なものです。

 

⑤旭城(愛知県尾張旭市 2005年5月14日攻城)

旭城模擬天守      by:photo-ac

新居城は、水野雅楽頭宗国(みずのうたのかみむねくに)が1460年頃に築いた平山城で、堀と土塁が残っていました。

城跡は城山公園になっています。

驚いたことに、四重四階建ての白亜の層塔型複合式天守が建っていました。

嬉しくて行ってみると、内部はレストランで、2階は和室でした。

元々は、雇用開発事業団が昭和52年に勤労福祉施設として建設したものだったとわかりました。

平成15年に、それを尾張旭市が譲り受けて「旭城」と正式に定めたと書かれています。

比翼千鳥破風や軒唐破風を置いた四重四階層塔型複合式天守で、立派なものですが、見た目が何となくおかしい印象だったのはそういう理由があったのですね。

それに、比翼千鳥破風が、同じ屋根上の隣り合わせに置かれていることも、おかしな印象をもつ原因となっているのだと思います。

普通は反対面には置きますが、こんな置き方の天守はみたことがありません。

 

⑥岩石城(福岡県添田町 2006年8月5日攻城)

岩石城模擬天守       by:photo-ac

岩石(がんじゃく)城は、標高446mの岩石山の山頂にある山城です。

保元3年(1158)に、平清盛大庭景親(おおばかげちか)に築かせたと言われています。

豊臣秀吉九州征伐の折、秀吉軍が最初に本格的な攻撃をした城でもあるそうです。

難攻不落の城といわれていましたが、猛攻撃により何と1日であっけなく落城したとか。

現在、中身は添田町美術館と健康センターとなっていますが、私が攻城したときは美術館といっても1階に少々の版画が展示されていただけでした。

むしろ健康センターといったほうが良い城です。

二重三階望楼型独立式天守で古式の姿ですね。

 

⑦藤橋城(岐阜県揖斐川町 2009年4月16日攻城)

藤橋城模擬天守    by:photo-ac

こちらは外観が三重四階層塔型独立式天守となっている、立派な藤橋城模擬天守です。

しかし、内部は旧藤橋村が平成10年(1989)に建設した「プラネタリウム」でした。

外観を彦根城に似た天守風の建築物として建立したと書いてありました。

軒唐破風や比翼入母屋破風、火灯窓を置いていますが、彦根城のような美しさは残念ながら感じられませんね。

館内は、プラネタリウムのほかに、星や宇宙に関する資料、物品や旧藤橋村に関連した資料などが展示されています。

隣接する藤橋民俗資料館と共通券で入場できますよ。

 

五城目城(秋田県五城目町 2006年7月5日攻城)

五城目城模擬天守

画像出典:五城目町森林資料館「五城目城」

 

五城目城は、八郎潟の近くにありました。

町のシンボルとして森山森林公園内に建造されている建物で、内部は森林資料館になっており、伐採に使われた道具や当時の写真が展示されてるそうです。

5階からの眺めは大変良く、それだけで攻城した甲斐があった模擬天守でした。

 

⑨神岡城(岐阜県神岡町 2002年5月19日攻城)

神岡城模擬天守

画像出典:高原郷土館(神岡城) | 飛騨市公式観光サイト「飛騨の旅」

 

神岡城へはJR高山線飛騨古川駅から、タクシーに乗っていきました。

神岡城は、平家の落人の末裔である江馬朝方が築いた城が始まりのようです。

高原郷土館は、神岡城(歴史資料館)・旧松葉家住宅・鉱山資料館の3施設からなっています。

神岡城は、かつて金森氏の出城として使われていました。

現在の天守は、昭和45年(1970)に神岡町のシンボルとして建造されたものです。

上岡鉱山を所有する三井金属鉱業上岡鉱業所が創業100周年を記念して、模擬城門とともに建てた二重三階望楼型独立式模擬天守です。

なかには鎧や刀剣、馬具などが展示されています。

廻り縁をもつ古式ゆかしい姿ですよね。

 

*終わりに

以上、ユニークな天守をご紹介いたしましたが、日本にはこれ以外にもたくさんユニークな模擬天守があります。

・遊園地やテーマパークにある模擬天守

・中身は博物館で外見は天守

・観光地にある観光用模擬天守

・城の外見をした宿泊施設

天守風のマンションや個人の家

などなどです。

私は、一応歴史上の城跡を探訪するために現地に行くのですが、度々紹介したようなユニークな天守に出くわしたので、今回紹介することにしました。

基本的にはいずれも、探訪するほどに価値のある天守ではないと感じました。

面白くはありますが、お城好きとしては少々残念に思うときもあります……。

 

▼PR たまには楽して豪華ご飯

 

▼PR 利き酒師が選んだ希少な日本酒が毎月届く!