第110回は千葉県にある佐倉城です。
佐倉城は、千葉県の印旛沼(いんばぬま)に連なる低湿地に臨んで三方が急崖となっている天然の要害「鹿島台(鹿島山)」と呼ばれる台地の、西端部に築かれています。
平山城ですね。
佐倉城は、江戸城の背後(搦手)の防衛拠点として築かれました。
徳川幕府に特に重要視された堅固な城郭です。
「日本100名城」(第20番)に選ばれています。
別称は鹿島城、鹿島山城。
佐倉城へは2000年6月16日に登城しました。
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江戸幕府が成立したあとの慶長15年(1610)に、後の大老・土井利勝(としかつ)が3万石で佐倉に入封します。
利勝は、徳川家康に命じられて未完成のままだった鹿島城の再築に取り掛かります。
築城にあたり、鹿島城跡の土塁や堀を利用して造ったといわれていますよ。
戦国時代に千葉氏が築城しようとしたのですが、完成しなかったのですね。
利勝の建てた城は元和3年(1617)頃に完成したようです。
近世の城郭として完成した城は、佐倉城と改称。
同時に一帯の地名も佐倉となり、新たに造られた商人町も佐倉新町と呼ばれるようになりました。
土井氏はその後加増され、14万石の大名になります。
土井利勝は佐倉藩主を24年間務めた後、寛永10年(1633)に古河に所替えとなりました。
その後、佐倉城主は譜代大名が目まぐるしく変わりますが、江戸城東側の守りの城として、老中の要職にある多くのものが城主となっていますよ。
延享3年(1746)になり、堀田正亮(まさすけ)が山形から10万石で入封。
その後、安政2年(1855)に老中首座となったに堀田正睦(まさよし)は、洋学の導入にも尽力し、日本で初めての西洋医学病院である順天堂を開設しています。
以後、堀田氏が佐倉城の城主として続き、明治を迎えます。
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佐倉城の本丸は、西側と南側を鹿島川とこれに合流する高崎川に囲まれた、舌状の鹿島台地西端部にありました。
それを囲むように二の丸、その東側に三の丸を梯郭式に配し、北に椎木曲輪(総曲輪)を構えていた縄張りの城郭です。
また、三の丸を守る形で置かれた角馬出は立派なものでした。
各曲輪はすべて堀によって仕切られており、石垣はまったくなかったようです。
本丸には、御三階櫓と呼ばれた三重四階建ての天守が、半地下式で建造されていました。
つまり土塁上は三重(外から見ると三重)で、本丸側から見ると四重に見える構造だったようです。
また、本丸には二重の銅櫓と隅櫓と御殿が建造されていました。
天守には飾り破風などはなく、素朴、質実な形のものだったらしいのですが、残念なことに文化10年(1813)に盗賊の失火により焼失してしまったそうです。
本丸北東側には、錣(しころ)葺きの銅櫓と呼ばれた二重櫓を置いていました。
上の古い写真ですね。
この櫓は、江戸城にあった太田道灌の造った静勝軒を移築したという伝承が残っています。
明治5年頃の解体中の古写真(上)が残っていますが、この櫓の三重目の屋根は宝形造りの大変珍しいものでした。
本丸には広壮な御殿が建造され、銅櫓と廊下で結ばれていたといいます。
本丸土塁上には一の門と台所門が開かれ、両門の中間には二重の櫓を設置。
三の丸の北側に椎木門が開かれ、外側に角馬出が造られて、椎木曲輪と呼ばれていました。
現在は国立歴史民俗博物館が建てられ、椎木門の外側の角馬出や空堀が復元されています。
廃城後は陸軍の連隊が置かれ、残念なことに建物はもちろんのこと、土塁や堀も原型をとどめないほどに破壊されてしまいます。
近年、発掘調査を経て堀などが復元・整備され、城跡の主要部分は佐倉城址公園として公開されていますよ。
北側の椎木曲輪の門。
三の丸の東側に設けられた立派な二重櫓門です。
門内には米蔵がありました。
佐倉市公式チャンネルで、佐倉城のCG映像や城下町についての動画を発見しました!
わかりやすいですよ~。
*佐倉城詳細
・住所:佐倉市城内町官有無番地
・アクセス:京成電鉄京成本線・京成佐倉駅から徒歩約20分 / JR総武本線・佐倉駅から徒歩約25分
・営業時間:24時間
・休業日:なし
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【参考文献】
平井 聖監修『城 2 関東 もののふ集う東国の城』(毎日新聞社 平成9年2月25日発行)、『城 其ノ二』及び『城 解説編』(日本通信教育連盟)、西ヶ谷恭弘編『国別 城郭・陣屋・要害・台場事典』(東京堂出版 2002年7月15日初版発行)、『城と城下町 東の旅』(日本通信教育連盟)、森山英一編著『古写真大図鑑 日本の名城』(講談社+α文庫 1998年11月20日第1刷発行)、中山良昭編著『もう一度学びたい日本の城』(西東社 2007年7月15日発行)他
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