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はい、35回目を迎えました。
平城で、別称は不来方(こずかた)城。
2006年に「日本100名城」(第6番)に選定されています。
まずは歴史を見てみましょう。
三戸(さんのへ)城から九戸(くのへ)城に移った南部信直(のぶなお)は九戸城を福岡城と改めました。
しかし南方の岩手郡仁王郷不来方の地に新城を築くべく、豊臣秀吉の許可を得ます。
南部氏は東北地方の名門武士ですね。
祖先を辿れば源義経までつながるそうです。
南部氏は平安時代から東北地方に根をおろし、着実に力をのばしてきた一族です。
新城を築いたそこは北上川の水運を利用できる交通の要所であり、流域が穀倉地帯ででした。
盛岡城築城以前には、不来方館と呼ばれる中世の城館があったようです。
北上川と中津川の合流点の丘陵上に慶長3年(1598)から築城を開始します。
しかし、翌年信直は死去。
工事はその子・利直(としなお)に引き継がれ、全体が完成したのは関ケ原の戦いの前後約40年余を経た三代重直(しげなお)の時代、寛永10年(1633)の時と言われています。
おじいちゃんから孫まで…長年の願いですね。
初めは「不来方城」と称していましたが、「盛り上がり栄える岡」との祈願をこめて「盛岡城」と改称されました。
以来14代江戸時代230年を通じて南部氏が引き継いで明治維新を迎えます。
お城は明治7年に取り壊されました。
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盛岡城へは2003年8月1日に登城しました。
盛岡という地名は、不来方の小山に土盛りをして丘のように造成したことに由来するようです。
盛岡城を探訪してまず驚くのは、有名な穴太(あのう)衆が築いた石垣のみごとさです
。
東北では珍しい総石垣造りの盛岡城は、会津若松城、白河城とともに東北三名城と謳われています。
その美しさは日本有数で、規模だけでなく、直高15m以上の高さにおいても東北を代表する堅城です。
城郭は、東の北上古川と西の中津川を城の外濠にして、石垣で区切られた本丸、本丸腰曲輪、二の丸(中の丸)と三の丸(北の丸)、三の丸下曲輪がほぼ直線的に並んだ連郭式の平城です。
三の丸の北側には広大な外郭があり、内濠、外濠、総構えの濠と三重に廻らせていました。
本丸には三重の天守が造られましたが、寛永13年(1636)頃の落雷で炎上しました。
後に復興されます。
江戸時代には天守以上の高い建造物はなかったでしょうから、避雷針のない天守に落雷して炎上することが多かったようですね。
その石垣は、川の氾濫で悩まされた信直が近江の穴太衆を高禄で呼び寄せて築いたもの。
城地の丘陵そのものが花崗岩質の岩山で、いわば石材置場に築城したようなものです。
そのため、ほとんどが土塁で造られている東北地方の他の城郭と違い、総石垣の城造りが出来たのでしょう。
盛岡城の残存する石垣は建造された場所や年代によってさまざまなものがあります。
本丸東側の石垣は、慶長年間(1596~1615)に築かれた野面積みです。
元和から寛永期初期(1615~29)にかけて造られた腰曲輪の石垣は打込接、貞享3年(1686)に建造された二の丸西側の石垣は切込接ですね。
下の写真は、本丸と二の丸の間の空堀の上に架かっている赤い欄干の廊下橋です。
現在の橋は鉄筋コンクリートで再建されたもので、かつての姿はあきらかではありません。
橋の左側の本丸石垣は江戸時代初期の姿をとどめています。
さらに園内にある彦御蔵(ひこおくら)は江戸時代に建てられたもので、参勤交代の際の道具をしまっていたそうです。
盛岡城址は現在、「岩手公園」となっており、城郭内には南部氏始祖・南部光行や初代藩主・南部信直らを御祭神とする櫻山神社があります。
また、盛岡城は、盛岡生まれの歌人・石川啄木が青春時代散策の場所として愛し、「不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸われし十五の心」と中学時代に城で遊んだ時の心情を切なく詠んだ城址としても有名ですね。
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【岩手・青森県城巡りの旅】
盛岡城に登城した2003年8月は、一泊二日で岩手県と青森県の7つの城址巡りをしました。
その後、東北最古の石垣や空堀の残る九戸城址(岩手県)、昭和51年に三戸町立歴史民俗資料館として建てられた三重三階の三戸城模擬天守(青森県)を見学し、八戸で宿泊。
翌2日は八戸城址(青森県)、そして主殿や納屋などの本丸の建築群が平成6年(1994)復元され、東北中世の城郭の旧観を再現した根(ね)城(青森県)、最後は楽しみにしていた東北屈指の名城・弘前城(「第6回弘前城」参照)を探訪しました。
この2003年は東北地方と沖縄県を中心に、実に24県64の城と城址を訪れた最高の年でした。
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*盛岡城詳細
休業日:年中無休
営業時間:24時間
【参考文献】
平井 聖監修『1 北海道・東北 吹雪舞うみちのくの堅城』(毎日新聞社 平成9年3月25日発行)、財団法人日本城郭協会監修『日本100名城公式ガイドブック』(学習研究社 2007年7月3日第1刷発行)、中井均監修『超雑学 読んだら話したくなる 日本の城』(日本実業出版社 2010年6月20日発行)、『城 其ノ二』及び『同 解説編』(日本通信教育連盟)他
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