日本のお城が大好きだと叫びたい人の雑記

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お城雑学・築城の名人4「小堀 遠州」

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頼久寺所蔵『小堀遠州像』

お城にざっくり関係ある雑学を語ります。

築城者紹介の4回目ですね。

 

黒田如水藤堂高虎加藤清正と並ぶ築城の名手と言われる人が、小堀遠州です。

しかし築城の名人と言っても前出の3人は普請(土木工事)を中心とする築城名人ですが、小堀遠州は作事(建築工事)を得意とする築城の名人です。

ちなみに土木工事と建築工事の違いは以下の通り。

どちらも設計図に基づいて建造物を作ることは同じなのですが、現場の人間にとっては両者はまったく違うものという認識があるそうです。  

・普請(土木工事)・・・城郭の縄張りを決めたり、土塁や石垣を築いたりする城郭の基礎工事

・作事(建築工事)・・・天守や御殿などの建築工事

 

小堀遠州安土桃山時代から江戸時代前期にかけての大名で、作庭家、茶人としても一流の人です。

特に作庭に造詣が深く「遠州流」として各地に作庭遺構が残っています。

備中松山城城主、のち近江国小室藩初代藩主です。

一般には小堀遠州の名で知られていますが、「遠州」は武家官位の受領名の遠江守に由来する通称で、後年の名乗りですね。

本名はこの時代の人らしくいろいろと変わりますが、幼名が作助で、正一ののち政一(まさかず)に変えています。

 

小堀政一天正7年(1579)長浜市小堀町生まれ。

父親の正次が仕えていた浅井氏の滅亡後、羽柴秀吉の弟・秀長の家臣として仕え、秀長の大和郡山城への移封に伴って小堀親子も移ります。

秀長は千利休に師事しており、大和郡山茶の湯の盛んな土地でした。

小姓だった政一は、秀吉への給仕を務め、利休や黒田如水・長政父子とも出会い、長い親交を深めます。

また、父の勧めにより大徳寺の春屋宗園に参禅もしていますよ。

これらの経験がのちの築城家、作庭家、茶人として一流になってゆく基になったのですね。

秀長、秀保が死去したあと、文禄4年(1595)に秀吉直参となり伏見に移り、ここで政一は古田織部茶の湯を学びます。

慶長3年(1598)秀吉が死去すると、正次・政一親子は、次に徳川家康に仕えることになりました。

藤堂高虎ととてもよく似ていますね。

ちなみに遠州は、19歳のときに藤堂高虎の養女を妻にしています。

父・正次は関ケ原の戦いでの軍功により備中松山城を賜ります。

慶長9年(1604)の父の死後、その遺領12,460石を受け継ぎ備中松山城主となり、城の修復を行いました。

また麓の頼久寺の庭園も作庭しています。

 

では次に、順を追って小堀遠州の主な業績を紹介していきましょう。

 

備中松山城・・・日本100名城(第68番)花ちゃん登城日:1999年11月28日

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備中松山城  by:photo-ac

海抜430mの小松山山頂に築かれた近世屈指の山城。

近世三大山城の一つで、二重二階層塔型の天守は現存する天守のなかで最小ですが、日本一高い所にある天守です

平成9年(1997)五の平櫓、六の平櫓、本丸南御門、土塀などが再建されました。

 

・ 慶長13年(1608)には、家康の隠居城・駿府城の作事奉行

 駿府城・・・日本100名城(第41番)花ちゃん登城日:1996年10月13日

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駿府城東御門  by:photo-ac

家康が隠居城として改築。天下普請で西国大名たちに修築を命じ、三重の濠と六重七階の大天守を持つ城に大改築させました。

しかし、天守は出火で寛永12年(1635)に焼失、以後再建されることはありませんでした。

巽櫓は平成元年(1989)、櫓門・高麗門・多聞櫓から構成される枡形門の二の丸東御門は平成8年(1996)に復元されています。

 

遠州は、この大改築の功により遠江守に任ぜられます。

以後この官名により、小堀遠州と呼ばれるようになります。

 

・慶長17年(1612)名古屋城天守の作事奉行拝命

 名古屋城・・・日本100名城(第44番)花ちゃん登城日:2003年10月25日

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名古屋城天守  by:photo-ac

徳川家康大坂城豊臣秀頼を抑え込むために、慶長15年(1610)西国大名らに命じて天下普請で築城した巨城。

広大な城域に五重七階地下一階の大天守と小天守、多くの多門櫓と櫓を立て並べた当時最大の城郭でした。

昭和34年に天守が再建、平成30年(2018)には本丸御殿が再建されました。

 

・慶長18年(1613) 禁中仙洞御所の作事奉行拝命

(写真なし)

元和3年(1617)河内国奉行に任じられ、元和5年に近江小室藩に入封となって小室藩初代藩主となりました。

さらに元和8年には近江国奉行に任じられ、翌年伏見奉行に任ぜられます。

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・元和3年(1617)伏見城本丸書院の作事担当拝命

(写真なし)

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寛永2年(1625)二条城、大坂城本丸殿舎の作事奉行拝命

二条城・・・日本100名城(第53番)花ちゃん登城日:1998年4月3日

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二条城二の丸御殿   by:photo-ac

二条城は、徳川家康が京都における儀礼施設として築城、慶長8年(1603)にここで征夷大将軍拝賀の儀式を行っています。

その後改築が行われ、家光の時の寛永3年(1626)後水尾(ごみずのお)天皇行幸を迎えるために本丸御殿と総塗籠の五重天守を築城しました。

しかし天守寛延3年(1750)落雷で焼失。

現在は遠侍(とおざむらい)、式台、黒書院、白書院などからなる武家風書院建築の二の丸御殿が改修された姿で現存しています。

 

平成6年(1994)「古都京都の文化財」の一つとして世界文化遺産に登録されました。

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二条城二の丸庭園  by:photo-ac

 

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寛永3年(1626) 大坂城天守の作事奉行拝命

大坂城・・・日本100名城(第54番)花ちゃん登城日:2017年9月30日登城 

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大坂城天守 by:photo-ac

慶長20年(1615)の大坂夏の陣で、豊臣大坂城天守などことごとく炎上しました。

徳川秀忠はその豊臣大坂城の縄張りの上に盛土をし、あらたな縄張りのもと石垣を積み直します。

そして秀吉の天守を上回る、大規模な白漆喰総塗籠の徳川大坂城を築城。

石垣や千貫櫓など、現在見ることができる遺構はその徳川の大坂城です。

昭和6年(1931)に徳川大坂城天守台に豊臣大坂城を模して建てられた天守は、3代目の天守です。

しかし、豊臣大坂城を模したと言う割には5重目から下は白漆喰総塗籠の天守となっており、形は豊臣、外観の印象は徳川の「白い城」と言える城になりました。

不思議と言えば何とも不思議な天守ですね。

どうして豊臣の天守「黒い城」にしなかったのでしょうか?知ってらっしゃる方はぜひ教えてくださいね。

 

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寛永6年(1629) 江戸城西の丸山里の新庭造営拝命

(写真なし)

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寛永10年(1633)近江水口城築城拝命

水口(みなくち)城・・・花ちゃん登城日:1999年8月5日登城

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水口城  by:photo-ac

寛永11年(1634)徳川家光の上洛の宿館として、小堀遠州によって築城された平城です。

将軍の上洛がなくなり、それまでの城代にかわって天和2年(1682)に加藤明友が水口城主に任じられ、水口藩が成立。

城址は現在水口高校の敷地になっていますが、本丸東西の布積み石垣と水濠は築城時の面影を伝えています。

平成3年(1991)に廃城後民家へ移築されていた本丸乾櫓を再移築、水口城資料館として復興されています。

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京都青蓮院門跡 霧島の庭(遠州作)  by:photo-ac

小堀遠州は伏見奉行を務めながら茶の湯三昧の生活に過ごし、正保4年(1647)、伏見奉行屋敷にて69歳で死去しました。

 

遠州の公儀作事に関する主なものとしては、紹介した駿府城修築、名古屋城天守をはじめ、後陽成天皇御所造営等の宮中や幕府関係の作事奉行が挙げられます。

また、宮中造営の業績のほかに将軍の側近・以心崇伝の住坊である南禅寺塔頭金地院内東照宮や茶室及び庭園、同寺本坊の方丈庭園、大徳寺塔頭龍光院の密庵席(国宝)など準公儀の作事に参画しています。

 

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【参考文献】

Wikipedia小堀政一」、財団法人日本城郭協会監修『日本100名城公式ガイドブック』(学習研究社 2007年7月3日第1刷発行)、財団法人日本城郭協会監修『続日本100名城公式ガイドブック』(学習研究社 2018年5月7日第6刷発行)他

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