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2021年8月31日に「青春18きっぷ」を使って、気ままにぶらっと京都府の園部城址に行ってきました。
園部城址には1999年5月23日に初めて登城しましたが、このブログが始まっていろいろな城の紹介をしていて、最近気になっていた城址です。
園部城は日本の城郭史では明治2年(1869)に築城された、日本で一番最後の城として有名な城。
城主小出(こいで)氏は2万6,700石の大名でしたが、資格は無城主格で城を持つことは許されておりません。
陣屋しか構えられない大名でした。
したがって本来ならば城跡ではなく「園部陣屋」と言わなければいけないのです。
しかし石碑には「園部城址」と書かれていますし、いろいろな本にも園部城と紹介されています。
何故でしょうか?
その理由なども説明しますね。
小出吉親(よしちか)は元和5年(1619)に但馬国出石から転封し、園部盆地中央の小麦山東麓台地に陣屋を築きます。
標高173mの小麦山を背に、北側に園部川、西側に半田川を取り込み、南側と西側に中濠を設け、最も外側の低地には外濠を構えました。
小出氏は奏者番、寺社奉行、若年寄など歴代幕府の要職を務めている名門大名です。
10代250年にわたり世襲し、明治を迎えています。
慶応3年(1867)に最後の藩主である小出英尚(ふさなみ)は、孝明天皇皇后の御殿「准后殿(じゅんごうでん)・清和院」を警護する市中見廻役となります。
そこで翌年の明治元年に、明治新政府に帝都守護を理由に城の改築を願い出たのですね。
果たして城の改築は許されました。
幕府軍との戦闘でもしもの時に、園部陣屋を明治天皇の避難先にする計画であったからとも伝わっています。
城を持つことを許されなかった小出氏は、4年の歳月をかけて小麦山山頂に天守に相当する御三階櫓を建造、それに巽櫓や乾櫓、巣鴨櫓、太鼓櫓、大手口には櫓門などを建造します。
元和の築城に匹敵する最後の大修築でした。
曲輪はひとつしかない単郭ですが三重の濠に櫓と櫓門を持った縄張りで、もはや陣屋とは呼べません。
どこに出しても恥ずかしくない、純然たる城郭そのものです。
【閑話休題】
城門を高校の校門として使っている例は園部高校以外にもありますよ。
いくつかの資料によると以下の6校です。
1)長野県立上田高校(上田城)藩主館の表御門で「古城の門」と呼ばれ高校のシンボルです。
2)茨城県立水戸第一高校(水戸城)橋詰門が高校の校内に移築され校門にしています。
3)治部県立大多喜高校(大多喜城)未見です。写真で見ると単に高校の敷地内に移築されているだけかもしれません。
4)愛媛県立西条高校(西条陣屋)立派な大手門が正門として使われています。
5)佐賀県立鹿島高校(鹿島城)通称「赤門」とよばれる朱色に塗られた立派な城門が正門として使われています。
6)長崎県立五島高校(石田城)福江城とも言います。小さいな城門ですが、風情があります。
事務室に許可をもらって入り、高校側から櫓門などを撮影しました。
これらの遺構は現在、そのまま高校の正門として使われています。
この3棟が遺構として残っていますが、その他に太鼓櫓は八木町安楽寺に移築されたそうです。
詳しいことを知らずに園部城を探訪すると、まず立派な三重の天守が見えてきます。
これが天守かと思って行ってみると、南丹市立国際交流会館でした。
隣に園部藩や藩主小出氏に関する資料が常設展示されている南丹市立文化博物館があります。
本丸跡は高校になっているので、園部公園内に模擬天守のつもりで建築したんでしょうね。
それにしても天守台の正面がガラス張りになっている、何とも言いようのない建築物です。
もっとまともな石垣の上に模擬天守を建造し、文化博物館と中身を交換した方がよいと思うのですが。
市長の見識が疑われますね。
誰も止めなかったのでしょうか。
園部から京都方面にJRで約15分。
駅から少し行くと内濠があり、明智光秀像があります。
丹波亀山城址は現在宗教団体大本教の教団本部となっていて自由に見学はできないことは知っていましたが、まさかのコロナ感染での緊急事態宣言中で全くどこも見学できないとは。
残念!!
NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」の時だったら、亀山城址の多くの場所が見学出来ただろうと思いますが。
近くの文化資料館も同じ理由で休館中でした。
仕方がないので、大手門跡にある形原(かたはら)神社などを尋ねました。
ここは丹波亀山初代藩主・松平信岑(のぶみね)を主祭神として創建された神社です。
それから駅前の小さな商店街にあった讃岐うどんの店で遅い昼食。
冷やしうどんを注文しました。
高松で本場讃岐うどんの修行をしたという店主が打ったうどんは大変腰があり、量も多く食べ応えのある美味しいものでしたよ。
◎写真は筆者撮影
*園部城詳細
・アクセス:JR嵯峨野線園部駅/京阪京都交通バス/5分/園部高校前下車
・現在は高校の敷地のため、出入りには許可をとること
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【参考文献】
西ヶ谷恭弘編著『国別 城郭・陣屋・要害・台場事典』(東京堂出版 2002年7月15日初版発行)他