62回目になりました。
平戸城は「日本100名城」(第90番)に選定されている平山城で、別称は亀岡城、日之岳(ひのたけ)城です。
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平戸城は、南蛮船が行き交った平戸港に突き出た亀岡山に築かれています。
軍学の大家と言われる山鹿素行(やまが そこう)の息子・高恒(たかつね)が縄張りをしたと伝わっていますが、今はそれを確認できません。
西洋文化の香りが漂う平戸の町に、白亜の天守が平戸湾を見下ろしています。
仕事が落ち着いた年末に、一泊で平戸城と平戸の観光を楽しむために行ってきました。
観光を兼ねてひとつの城をゆっくり探訪するのも良いものです。
平戸城は、平戸瀬戸に臨み三方を海に囲まれた小高い亀岡山にあります。
平戸には、松浦(まつら)党水軍の総帥で秀吉恩顧の大名として活躍した、初代藩主の松浦鎮信(しげのぶ)が築いた日之岳(ひのたけ)城がありました。
しかし、慶長18年(1613)に原因不明の火災で焼失しています。
城の存在が徳川幕府に「外様潰し」の口実を与えるのを恐れ、藩主鎮信自ら城を焼いたとも言われていますが、定かではありません。
幕府に対する配慮からか松浦氏は城を再建せず、対岸の御館(おたち)に居館と藩庁を移します。
その後約100年間城は築かれませんでした。
しかし、江戸時代中期の元禄16年(1703)5代藩主・松浦棟(たかし)が寺社奉行に抜擢されたのを機に、幕府に新規築城を願い出ます。
武家諸法度によって新しく城を造ることが認められない時代なのに、願い出でてからわずか四日後という異例の速さで築城が許可されました。不思議。
翌年から日之岳城址で工事を開始し、15年をかけて城を完成。
平戸城は松浦氏37代の詮(あきら)まで代々の居城で明治を迎えています。
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標高52mの丘上の北寄りに本丸、中央に二の丸があります。
二の丸には藩主の御殿が建っていました。
そして二の丸の南西には馬場があり、本丸・二の丸・馬場のそれぞれを石垣で固めています。
三方が海に囲まれ、南側には空堀をめぐらす梯郭式の城郭。
外郭北側には二か所の船溜りを造っていますね。
幕府に対する配慮からか天守は建てられず、二の丸にある三重櫓の乾(いぬい)櫓を天守の代用としています。
遺構としては、北虎口(こぐち)門と狸(たぬき)櫓が築地土塀とともに現存。
城跡への道筋には、重要文化財のアーチ式の幸橋(さいわいばし)も残っています。
昭和37年(1962)に模擬天守(沖見櫓)・見奏(けんそう)櫓・乾櫓・地蔵坂櫓が、そして同52年には懐柔(かいじゅう)櫓が再建されました。
本丸二重櫓(沖見櫓)跡に、鉄筋コンクリート造りで三重五階地下一階層塔型白漆喰総塗籠の模擬天守が建てられています。
一重目に切妻出窓と小さな千鳥破風、そして三重目に軒唐破風と高欄が付けられた気品ある天守です。
北虎口門は二の丸の入り口(搦手門に相当)にあたり、打込接ぎ乱積みの石垣の上に入母屋造りの渡櫓を載せた門です。
建造年月は不明ですが藩政時代の遺構で、土塀は築城当時のものです。
櫓は少し改ざんされているようですね。
窓などは江戸時代のものとは思えません。ガラス?っぽいのも見える……。
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二の丸御殿跡に明治13年(1880)に建立された亀岡神社です。
松浦家の始祖と伝えられている源久(みなもとのひさし)等を祀っています。
現在の平戸城が出来るまで居館として使っていた御館は、現在は松浦史料博物館として利用されています。
居館、高石垣、塀が当時のまま残る貴重な遺構です。
平戸藩、松浦家関係の資料が展示されていますよ。
是非訪れて下さい。
この写真は平戸を代表する風景。
石段の道にお寺と教会が重なって見え、異国情緒あふれる人気のスポットです。
最初の平戸観光では、大体この坂道を登って平戸ザビエル記念教会まで行きますよね。
平戸城へは松浦鉄道の「たびら平戸口駅」からバスに乗っていきます。
このたびら平戸口駅は、沖縄のゆいレール那覇空港駅が出来るまでは日本最西端駅でした。
ただし沖縄のゆいレールはモノレールのため、地上を走る普通鉄道駅では現在も日本最西端駅です。
駅舎の右側の生垣のところに昭和37年に建立された記念碑が見えています。
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【2003年の城巡り】
平戸城へは2003年の年末に探訪しました。
この年は全部で24県の城を訪れ、年間の最高訪問県数となりました。
探訪した城・城址・陣屋跡の数はこの1年だけで64です。
ついでなので、ここで2003年に巡った城について簡単に感想を述べておきます。
最北は北海道の松前城で、最南は沖縄県の三山分立時代の南山王の居城だった南山グスク他12グスクでした。
7月に山形県と秋田県、8月に岩手と青森、そして沖縄を集中的に探訪するという大変充実した1年でしたね。
そういえば、北海道で思わぬ城に出くわしました。
釧路駅にバスで向かっていると、車中から偶然三重の天守を発見。
おかしい、こんなところに天守はないはずだと思い、駅からタクシーで向かってみました。
その三重天守の正式名称は鳥取百年館と言い、釧路市内の鳥取神社境内にありました。
鳥取から釧路の開拓に入植した鳥取県人たちが、記念に故郷の鳥取城をイメージして複合式天守を築城したのですね。
三重三階白漆喰総塗籠の平櫓が併設されています。
城はその地域の人たちにとっては心の拠り所であることを改めてしみじみ感じました。
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平戸城の公式サイトです。観光前にぜひチェックしてみてください。
*平戸城詳細
・アクセス:平戸桟橋から徒歩で15分
・営業時間:8:30~17:30
・休業日:年末12月30日、31日
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【参考文献】
平井 聖監修『城 8 九州 沖縄 火燃ゆる強者どもの城』(毎日新聞社 平成8年10月25日発行)、財団法人日本城郭協会監修『日本100名城公式ガイドブック』(学習研究社 2007年7月3日第1刷発行)、『城と城下町 西の旅』(日本通信教育連盟)『城 其ノ三』及び『城 解説編』(日本通信教育連盟)、南條範夫監修『日本の城 名城探訪ガイド』(日本通信教育連盟)他
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