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56回目、今回は長野県の高島城です。
高島城は、築城家・日根野高吉(ひねの たかよし)が築いた名城です。
日根野高吉は豊臣秀吉のもとで大坂城をはじめ多くの築城にも携わった人ですね。
諏訪湖に浮かぶ優美な城で、浮城(うきしろ)の名でも広く知られていました。
江戸時代、葛飾北斎の「富嶽三十六景」にも描かれたようです(未見)。
諏訪高島城とも言われた平城(水城)で、別称は島崎城。
「続日本100名城」(第130番)に選定されています。
本丸側から見た天守 by:photo-ac
天正10年(1582)に約40年にわたった武田氏の支配の後、織田信長配下の武将が治めることになりました。
しかしわずか二か月ほどで本能寺の変が起こると、古くからの豪族で諏訪神社の神官の家系でもあった諏訪頼忠(よりただ)が決起し、この地を奪還します。
頼忠は天正11年には家康に従い、領内の統治にあたっていました。
秀吉が天正18年(1590)に小田原城の北条氏を滅ぼした翌年、家臣の日根野高吉が入部します。
高吉は諏訪氏の金子城を破却してその用材を運び、社寺の大木(してはいけないことです)を切り出し、文禄元年(1592)に築城に着手。
諏訪湖南岸河口の三角州の先端部にあった島崎と呼ばれる小島状の、小高い丘を利用しました。
角間川から引いた水路が三方をめぐり、本丸、二の丸、三の丸、衣之渡(えのど)曲輪と北に並べ、本丸の南側には南の丸を設けた連郭式の縄張りだったようです。
西側の石垣を諏訪湖の波が洗うという堅城ですね。
北西からの城の眺めは、まるで湖水に浮かぶように見えたと言われています。
幻想的だったのでしょうねえ。
浮城の名はこれに由来します。
しかしその美しい姿とは裏腹に、築城のために過酷な労役と税を課したため、よそ者の高吉への領民の反発は激しいものがありました。
耐え切れず、村ごと逃散するということもあったようです。
それほどひどかったのですね……せっかくの美しいお城ですが、愛されなかったわけです。
完成は慶長3年(1598)頃。
慶長6年(1601)に高吉の子・吉明(よしあき)は下野壬生(しもつけみぶ)に移封となり、諏訪忠頼の子・頼水(よりみず)が旧領を回復、父とともに高島城に入城します。
先祖代々、諏訪神社の神官の流れをくむ諏訪氏の入城を、領民は歓呼の声で迎えたと伝わっています。
また諏訪氏は、築城名手と言われる日根野高吉の築いた名城を労せず手にいれることになりました。
頼水は城下町を整備するとともに、諏訪湖の水位を下げ、湖周辺を干拓し、新田開発も行って石高を増やすことに腐心します。
そのため諏訪湖の水面は城から1Km先に退き、湖に映える浮城の面影は全くなくなってしまいました。
仕方ないとはいえ、これは残念ですね……。
諏訪氏はその後3万石に加増され、代々が藩主をつとめて明治を迎えます。
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高島城へは、2001年9月14日に登城しました。
本丸にあった三重の天守は明治になって壊されているため、当時の遺構は濠と石垣だけでした。
しかし昭和45年(1970)、当時のままの石垣の上に、古記録や写真をもとに天守や二重の隅櫓などが外観復元されました。
入母屋破風の出格子窓が付けられた桃山様式の古式な姿の天守ですね。
壁面下部の茶色の下見板張りと、上部の白漆喰塗りが天守を美しく見せています。
屋根は瓦でなく、もともとは杮葺(こけらぶ)きでした。
これは寒冷地で起こる瓦が凍って割れる現象に対処するため。
しかし復元された天守屋根は銅板拭きになっています。
天守は天主閣資料館となっており高島藩の関連資料が展示されています。
大手門は、絵図では冠木門と記されていました。
しかし櫓門として復興されています。
両サイドの出張った石垣の上の塀から大手門の前の敵を攻撃できる仕様で、桝形ではありませんが、防御力の高い大手門です。
本丸の石垣は、牛蒡(ごぼう)積みで築かれた頑丈なものです。
ほぼ昔のままに残っていますよ。
その石垣の上に二重隅櫓と土塀が復元されました。
本丸は現在高島公園となり、諏訪護国神社が建立されています。
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高島城の探訪が終わったら、近くにある諏訪市原田泰治美術館に行くことがおすすめです。
日本の昔懐かしい景色に出会えますよ。
*高島城詳細
・住所:長野県諏訪市高島1丁目20-1
・営業時間:4月1日~9月30日 9時00分~17時30分/10月1日~3月31日 9時00分~16時30分
・休業日:12月26日~12月31日
【参考文献】
平井 聖監『城 3 甲信越・北陸 銀嶺を望む風雪の城』(毎日新聞社 平成9年3月10日発行)、財団法人日本城郭協会監修『続日本100名城公式ガイドブック』(学研プラス 2018年5月7日第6刷発行)、石井進監修『文化財探訪クラブ6 城と城下町』(山川出版社 1999年㋆25日1版1刷発行)、南條範夫監修『日本の城 名城探訪ガイド』(日本通信教育連盟)、『城と城下町 東の旅』(日本通信教育連盟)『城 其ノ二』及び『解説編』(日本通信教育連盟)他
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