*知っておきたい城郭用語(その4)
ここで紹介するのは、お城を理解する助けとなる用語です。
パンフレットや本を読んだとき、つまりこれは何? と悩むことはありませんか?
お城を探訪する時や関連する本を読む時に、役立つ基本語その4を順次紹介していきましょう。
今回は、城郭用語を紹介します。
!!城郭用語!!
【石落(いしおとし】
下方の敵を攻撃するために、天守や櫓の床を張り出して開けられた穴。
名称とは異なり、実際は石だけでなく、熱湯や様々なもの落としたり、鉄砲を撃つ穴としても使用されたようです。
【馬出(うまだし)】
虎口の外部に設けられた陣地で、敵がすんなり虎口を経て城に入ってこられないようにするための厳重な防御施設。
馬出のスペースが広いものは、出撃の際の施設としても利用されました。
兵庫県篠山城の土塁馬出は現存遺構としては非常に珍しいものです。
篠山城 南馬出模型 (筆者撮影)
【空堀(からぼり)】
水のない堀。
水がたまりにくい山城に多く、空堀に入った敵の動きを封じるために、たいていは狭く深く造られています。
堀の底面には仕切りを設けたり、逆茂木(さかもぎ)を置いたりもすることがあります。
【狭間(さま)】
矢や鉄砲を撃つために建物や塀に開けられた小窓。
縦長は矢狭間、三角や四角や丸形は鉄砲狭間用です。
【障子堀(しょうじぼり)】
敵の自由な行動を制限するために、堀の底を障害物(小さな土手のような形)で細かく区切った堀。
関西方面では見かけない障子堀ですが、大阪府警本部の建て替えの時の調査で大坂城の障子堀が発見されています。
【総構(そうがまえ)】
城と城下町の最外部の堀。
【竪堀(たてぼり)】
山の斜面の横方向の移動を遮るために、等高線に対して垂直に造った堀。
竪堀に沿って上から石などを落として敵を攻撃するのにも使われます。
【土塁(どるい)】
曲輪の周囲に土を盛って造った防御施設。
【堀切(ほりきり)】
尾根筋を切断して、敵の攻撃を防ぎます。
【枡形(ますがた)】
入口は高麗門、枡形の内部の門は堅牢な櫓門。
諸方から攻撃し、容易に敵が逃げられないように、虎口の周囲を石垣や土塁、多聞櫓や塀で囲った空間。
大坂城大手口桝形(内桝形)
【水堀】
平城に設けられることが多く、幅は広く、深さは背が立たなければ充分です。
【横矢掛り(よこやがかり)】
石垣を屈折させることで死角をなくし、二方もしくは三方から攻撃できるようにするためのもの。
*本日のおすすめの本「戦国の城を歩く」
お城について書いている好きな本、おすすめの本をたま~に1冊ずつ紹介しています。
『戦国の城を歩く』2009年 著:千田嘉博 出版:ちくま文芸文庫
テレビの城関係の番組で引っ張りだこの奈良大学の教授。城郭考古学が専門。語り口調が優しくおもしろい! 著者の気分やユーモアたっぷりのコメントなどがところどころ書いてあり、笑いも取れる本です。
城跡巡りの方法や注意事項、日本だけでなく世界の城にも触れていて、勉強になりますよ。