はい、38回目のお城ですね。
今回は「日本のマチュピチュ」「天空の城」と言われ、戦国時代の姿をとどめる雄大な山城、兵庫県の竹田城です。
雲海の中に浮かぶ写真は非常に有名で、最近は人気が過熱して立ち入り禁止になるなどさまざまなニュースにもなっていますね。
実は日本に「天空の城」と言われる山城はもう一つあります。
それは越前大野城。
ですが、越前大野城の紹介はまた改めてさせていただきますね。
竹田城へは2002年9月19日に登城しました。
別称はトラが伏せて見えることから虎臥(とらふす)城。
2006年に「日本100名城」(第56番)に選定されています。
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竹田城は、室町時代中期の1400年代の中盤に但馬国の守護・山名宗全(やまなそうぜん)の家臣・太田垣光景(みつかげ)によって築城されたと伝わっています。
そのころの城には石垣はなく、天正13年(1585)、前播磨龍野城城主・赤松広秀(ひろひで)が二万二千石で入ってきてから、数年の歳月をかけて現在見られるような総石垣の城郭に修築したようです。
広秀が今に残る石垣上に天守や櫓、そして南千畳敷に広壮な御殿を構えたのは慶長3年(1598)から5年と考えられています。
しかし、関ヶ原の戦いのときの鳥取城攻めで、城下に放火したという濡れ衣を着せられた赤松広秀は自刃。
赤松氏の死とともに竹田城は廃城となりました。
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中央の高い石垣が天守台 by:photo-ac
JR福知山線の「竹田駅」は、中国山地の真っただ中にあります。
列車が駅に近づくと、車窓から駅の真上の山上に累々とした石垣の光景が見えてきますよ。
竹田駅裏にある法樹寺の横から始まる約1㎞の急勾配の登山道を、息を切らせながら歩いて登ること約60分。
ようやく天空の城・竹田城址に到着です。
途中に竹田城の石垣に使う石材を切り出した、石切り場があります。
駅から「天空バス」を利用することもできますが、中腹にあるバス停からでも、城址までは徒歩約20分はかかります。
歩きやすい靴でいくのはもちろんのこと、ある程度の覚悟をして登りましょう。
私が初めて登城したころは訪れる人もなく、バスも運行されてはいませんでしたし、バスの終点にある土産物屋などももちろんありませんでした。
最近は落ち着いてきているようですが、一時期は入城制限がされていたほどの人気の山城ですね。
竹田城は標高354mの虎臥(古城 こじょう)山山頂に築かれています。
南北500m、東西100mの大規模な城郭です。
山の北側には安井川、南から東側にかけては北上する丸山川があり、天然の要害となっています。
また西側眼下には、南北からの深い谷があり、これが堀切の代わりをしているのですね。
典型的な戦国の山城です。
山頂の本丸を中心に、二の丸、三の丸、北千畳、花屋敷、南千畳の各曲輪が放射線状・梯郭式に配置され、今なお荒々しくも堅固な石垣が連なる壮大な城址です。
地形に合わせて複雑に折れ曲がった石垣のラインは、竹田城の特徴の一つ。
これは常に横矢が掛かるための工夫です。
竹田城址は、石垣建築発達期の遺構が良く残っていることから、戦国時代の山城の城址では数少ない国指定の史跡となっています。
本丸から二の丸、南千畳と曲輪が続き、それぞれに枡形や喰違(くいちがい)を持つ虎口となっています。非常に厳重な守りの縄張りです。
縄張りのすべてに巡らされた壮大でかつ精緻な竹田城の石垣は、自然石をあまり加工せずに積み上げた野面(のづら)積み。
穴太(あのう)衆の築いた石垣に似ていることから、竹田城の石垣の積み方は「穴太積み」と呼ばれることもあります。
石材は現地のほか山麓付近から集められたものと考えられ、花崗岩で最大なものは5tと推測されています。
その石垣は400年を経て一部修復されてはいますが、現在でも当時の威容を誇っていますよ。
竹田城の魅力は、山頂に連なる石垣の圧倒的な姿ですね。
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竹田城は、2012年8月25日に公開された降旗康男監督、高倉健主演映画「あなたへ」、2014年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」のロケ地となりました。
それがきっかけで訪れる人が増えているようですね。
2014年11月10日に逝去された高倉さんの最後の主演映画(遺作作品)の「あなたへ」では、亡くなった妻で童謡歌手の倉島洋子を演じた田中裕子が竹田城址で歌うシーンを見て、すぐに竹田城址だと分かりました。
確か桜が咲き乱れている本丸で田中裕子が歌う、とても感動的なシーンでした。
竹田城の城下町は播但(ばんたん)街道の宿場町でもあり、廃城後も寂れることもなく、今もその面影を残しています。
竹田駅の前の道路が旧街道で線路と並行して古い町並みが残っています。
土塀、格子、緩やかに曲がった道路、軒先が揃った町並みを見ながらの散策はおすすめです。
駅近く(徒歩1分)にある情報館「天空の城」には、いろいろなものがあって楽しいですよ。
竹田城跡俯瞰模型(石垣や曲輪、竪堀、採石場、支城の観音寺城の縄張りも含め忠実に再現)や竹田城跡や城下町竹田を紹介する竹田城シアター、竹田城跡の石垣を原寸大で再現した「算木積みジオラマ」、四季の写真などを見られます。
また、駅周辺と裏の寺町や表米(ひょうまい)神社などを観光してみてください。
格技を好んだと言われる表米宿祢命を祀っている表米神社には、全国でも大変珍しい六段の半円形石段型相撲桟敷があり、県の重要文化財に指定されていますよ。
必見です。
そして、寺町通りの北側には4つの寺院が連なり、竹田城主の墓や供養塔があります。
通りに面した竹田川には鯉も放流され、寺院の土塀や石橋と調和して絶好の散策路であり、撮影スポットとなっていますね。
竹田城址探訪の際には、城址だけでなく竹田駅周辺の観光もできるよう、ぜひ十分な時間を取って行ってくださいね。
竹田城址は354mの山頂にあるため、11月前後の早朝には雲海に浮かぶ幻想的な姿、「天空の城」を見られます。
ただしその姿は向かいの山にある立雲峡から見る姿であり、かなり早朝のため近くに宿を取ってタクシーを予約しなければなりません。
しかも必ず見られるとは限りませんので、あらかじめご了承のうえチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
※大阪からなら午前2時ごろ出発で、自家用車が便利ですよ~。
ちなみに、何としても雲海+竹田城の絶景が見たい! と願う方のために、雲海が現れる条件を紹介しておきます。
・9月から11月の、前日の夜からよく冷え込み、当日は日中にかけて急に温かくなる日
・夜と昼の気温差が10度以上
・風がない朝
・数日前から前日に1度雨が降っていて湿度が高い
午前4時頃に雲海が発生するため、間に合うようにいくには街灯ゼロの真っ黒な山道を上る覚悟が必要です。
本気モードの方々は懐中電灯もお忘れなく。
頑張った暁には、一瞬夢かと思うような素晴らしい光景がみられるかもしれません。
また、雲海の中に浮かぶ竹田城が有名ですが、竹田城からでも美しい雲海と朝日が見られますよ。
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*竹田城詳細
・アクセス:1、竹田駅から竹田城跡 ①徒歩/表米神社登山道/55分/かなりきつい登山道 ②徒歩/駅裏登山道/40分/比較的なだらかな登山道
・営業時間:シーズンにより登城時間が異なる(公式サイト確認のこと)
・休業日:1月4日~2月末:冬季閉山のため日中登城不可
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【参考文献】
平井 聖監修『城 6 中国編 甍きらめく西国の城塞』(毎日新聞社 平成8年11月25日発行)、日本城郭協会監修『日本100名城公式ガイドブック』(学習研究社 2007年7月日第1刷発行)、『城と城下町 西の旅』(日本通信教育連盟)、『城 其ノ一』及び同『城 解説編』(日本通信教育連盟)、中井均監修『超雑学 読んだら話したくなる 日本の城』(日本実業出版社 2010年6月20日発行)他
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