78回目になりました。
今回は、秋田県の横手城です。
横手城は、奥羽山脈に守られた雪国の城。
久保田城の支城として幕末まで存続し、戊辰戦争の戦いの場となった城です。
平山城で比高40mの朝倉山山頂部に築かれています。
別称は、韮(にら)城、朝倉城です。
私は2001年8月28日に登城しました。
横手城は、羽州街道と秋田街道が交わる横手盆地の中央にあり、天然の要害の地に築城されています。
城郭の環境は次の通り。
・南西部は横手川が蛇行
・北部は明永(みょうえい)沼と牛沼
・東部は奥羽山脈に連なる朝倉山
横手城は室町時代からあったとも言われていますが、戦国時代に横手城を本拠に活躍した小野寺氏の頃に建てられたとする説もあります。
小野寺氏は鎌倉時代以来の有力氏族でした。
事実としてわかっているのは、横手城が関ヶ原の戦いまで小野寺氏の居城だったということです。
関ヶ原の戦いで小野寺義道(よしみち)は東軍の最上氏と戦ったため、家康によって領地を没収されます。
翌年、常陸国(ひたちのくに)の水戸からこの地に移封された佐竹義宣(よしのぶ)は、久保田城を築いて本城とし、横手城を支城として伊達盛重(もりしげ)を城代に据えます。
横手城は一国一城令の後も秋田藩の支城として、大館(おおだて)城とともに江戸幕府から存続が認められ、城には城代が置かれていました。
支城の存在が許されたのは極めて異例のことです。
慶長8年(1603)横手城城代となった須田盛秀(もりひで)は、横手川を城の外濠にするために、現在のような川筋に改修したと言われています。
また須田盛秀は知勇に優れた武士だったらしく、横手の城下町造りにも貢献しています。
寛文12年(1672)から戸村義連(よしつら)が城代となり、以後戸村氏が城代職を世襲して明治を迎えます。
戊辰戦争では主君の佐竹氏が官軍側についたため、仕方なく同盟軍と戦うことになり、庄内藩の猛攻を受けて横手城は落城しました。
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朝倉山山頂に本丸を置き、その北方に武者溜曲輪を隔てて二の丸を配しています。
ここに城代の居館、兵具櫓などが置かれました。
東側には帯曲輪を、山裾には濠を廻らせた連郭式の縄張りです。
横手城には天守は築かれませんでした。
城郭の土塁などには、石垣の代わりに滑りやすい韮が植えられていたと言われています。
これは土手が崩れるのを防ぐためだけでなく、敵が侵入しにくくするためと、非常時には食料とするためだったようです。
韮城の別称もここからきています。
本丸跡には、秋田藩の初代藩主佐竹義宣(よしのぶ)を祀る秋田神社が鎮座していますよ。
昭和40年、二の丸跡に建造された三重四階建ての天守は模擬天守です。
天守は本丸に建てるのが普通ですが、本丸には既に秋田神社が建てられていたので、二の丸に建てたのでしょうね。
珍しい事例です。
前述しましたが、江戸時代を通じて横手城には天守は築城されていません。
模擬天守は二重目の四方に大きな千鳥破風、三重目には高欄縁が廻らされ、屋根には唐破風が取り付けられています。
一重目と二重目の窓は格子窓、三重目の窓は現代風の四角い窓。
白漆喰総塗籠の小ぶりですが、「天守らしい」建物です。
いかにも観光用に建造された天守だと思います。
平櫓を持つ望楼型複合式天守で内部は郷土資料館になっており、刀や鎧などが飾られていますよ。
城址は現在横手公園となり、市民の散策の場です。
2月には横手名物で冬の風物詩「かまくら」の会場となりますよ。
冬期天守は閉館されていますが、かまくらの期間だけは例外的に開いています。
2001年8月27日から1泊2日で秋田県の4城址巡りを楽しみました。
27日は土塁と水濠しか残っていない本庄城、続いて秋田城(柵)(「続日本100名城」第107番)を探訪。
秋田城(柵)は、古代東北において多賀城と同じように重要視された城柵(じょうさく)です。
東北北方の防備と支配のために築かれた政庁ですね。
平成10年に東門と築地塀が復元されました。
翌28日は横手市へ、今回のテーマである横手城を探訪。
一国一城令のあとも久保田城の支城として幕末まで存続した城です。
それから久保田城を探訪しました。
久保田城は、秋田(久保田)藩の藩祖となる佐竹義宣が秋田平野の中央に築城した平山城。
横手城の本城です。
本丸には土塁が良く残っていて、東日本の「土塁の城」の姿を実際に見られる城址ですよ。
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*横手城詳細
・アクセス:JR奥羽本線・横手駅から徒歩30分
・営業時間:9:00~16:30/雪まつり等のイベント開催時は変更あり
・休業日:冬季期間(12月1日~3月31日)/ただし雪まつり期間中は営業
【参考文献】
平井 聖監修『城1 北海道 東北 吹雪舞うみちのくの堅城』(毎日新聞社 平成9年3月25日発行)、『城 其ノ二』及び『城 解説編』(日本通信教育連盟)、『城と城下町 東の旅』(日本通信教育連盟)、西ヶ谷恭弘編『国別 城郭・陣屋・要害・台場事典』(東京堂出版 2002年7月15日初版発行)他
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