瀬戸内海の塩飽諸島を一望する、海抜66mの亀山山頂にある丸亀城は、現存天守12城の天守で平山城。
別称は亀山(かめやま)城、蓬莱(ほうらい)城で、2006年「日本100名城」第78番に選定されています。
丸亀城へは、1996年7月14日に登城しました。
勤続20年の特別休暇をいただき、徳島城址から始まって瀬戸内周りで四国一周5泊6日7城探訪の旅をしたときでした。
その2日目に訪れたんですね。
総高約60mにも及ぶ三段階の石垣は日本一の高さを誇っていて、予讃線の車内から良く見えました。
どーん!て感じですね。
では、歴史から。
日本三大海城の高松城を築いた生駒親正(いこま ちかまさ)が、讃岐西部の押さえの支城として築き、「丸亀」と称しました。
慶長2年(1597)から築城が開始され、関ヶ原の戦いを挟んで5年間かかっています。
丸亀港を正面とする城郭の麓を囲む濠は、瀬戸内海の海水を満々と湛えていました。
この海水の濠に面して城内に「舟入り」と呼ばれる船の係留池があったようです。
今治城や高松城のような海城ではありませんが、海と直結した城郭でした。
しかし丸亀城は「一国一城令」によりいったん廃城となり、城主の二代・一正(かずまさ)は本城の高松城に移ります。
余談ですが、廃城になったために丸亀城下の人々が高松へ移り住んだところが、現在の高松市の繁華街である丸亀通りです。
その後お家騒動で生駒氏は転封。
讃岐は二分され、東の高松城に松平頼重(よりしげ)が、西の丸亀城には山崎家治(いえはる)が、九州天草富岡城から53,000石を得て寛永18年(1641)に入封します。
幕府は西国大名を海上から抑え込むため、家治に参勤交代を免除したうえ銀三百貫を与えて丸亀城の再築を応援しています。
しかし、再築にとりかかったものの後継ぎがなく改易。残念…。
その後万治元年(1658)に、播州龍野城から6万石を得て入城した京極高和(たかかず)が丸亀城を完成させます。
天守はこの京極氏が造ったものですね。
京極氏は7代210年の間丸亀を治め、明治を迎えます。
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かつて幕府の命により広島城や伊予松山城、大坂城などの修築でも腕を振るった家治は、その技術を丸亀城に注ぎ込みます。
山上の本丸から二の丸、三の丸と螺旋状に縄張りを行いました。
いわゆる渦郭式の縄張りですね。
山下に内濠を巡らし、さらに外側に外濠を設けた城郭で、生駒氏の残した石垣を見事に一新します。
石橋を渡り、高麗門形式の二の門を通り抜けた右側に渡櫓門(太鼓門・一の門)があり、桝形虎口を形成しています。
この大手門は、京極氏二代目の高豊(たかとよ)のときに北側(海側)の現在地に移されたもの。
高麗門の石垣は、立派な切込接・布積です。
京極高和により万治3年(1660)に完成された天守は、三重三階の層塔型独立式天守で、わずか2mの天守台の上に築かれています。
大手側(北面)を正面とし、最上階の入母屋妻側を大手側に向けています。
三重目に黒枠で囲んだ格子窓を設けて正面の構えを大きく、また格式ある姿に見せる工夫がなされています(次の写真参照)。
そのため東西面は幅が狭く、背高な外観です。
二重目の南北側に向唐破風、三重目の東西側に小さな千鳥破風を設け、小ぶりの天守にアクセントをつけています。
一重目の入口の面を除いて下見板張りで下部を覆い、その他は白漆喰塗籠めにした、どちらかといえば単純な天守です。
北側の天守の下に通路があるその部分のみ出窓とし石落としをつけ、外からは見えませんが、格子窓の下側には隠し狭間があります。
天守の四面が少しずつ違う姿の天守は、あまり類例がないのではないかな……。
弘前城天守とほぼ同じ大きさですが、余りにも石垣が立派なため天守が小さく見えます。
面白いことに丸亀城の天守は近代以前は天守とは呼ばれず、弘前城と同じように三重櫓と呼ばれていました。
また大手門側から見た天守と本丸側から見た天守の姿が違うのは松前城と同じですね。
丸亀城の石垣、「扇の勾配」という流麗で緩やかな曲線は、「日本一」✨と称えられています。
別名「清正流の三日月形」とも呼ばれる打込接の石垣は、城全体に雄大さと優美さをもたらしています。
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城跡は亀山公園として国史跡にも指定。
三重の天守だけでなく、桝形大手門、藩主居館の御殿表門などが遺構建築物として残っています。
山上の天守からは北に瀬戸大橋が架かる瀬戸の島々を、南には讃岐富士と呼ばれる飯野(いいの)山の美しい姿をまじかに見られますよ。
まさに絶景!
ちょっと霞んでますが、写真をどうぞ。
2019年5月29日に四国88ヶ所お遍路で78番の郷照寺に行く途中、丸亀駅前のアーケード通りで讃岐うどんを食べました。
アーケード通りはシャッター通りになっていて寂しかったですね。
全国の商店街が消えつつあります…。
歴史や美しい写真、石垣の説明などもありますよ。↓↓↓
*丸亀城詳細
・アクセス:丸亀駅から徒歩で10分
・営業時間:9:00~16:30 天守
・休業日:年中無休
【参考文献】
平井 聖監修『城 7 四国 黒潮寄せる南海の城』(毎日新聞社 平成9年1月25日発行)、財団法人日本城郭協会監修『日本100名城公式ガイドブック』(学習研究社 2007年7月3日第1刷発行)、『城』(日本通信教育連盟)、中井均監修『超雑学 読んだら話したくなる 日本の城』(日本実業出版社 2010年6月20日発行)、南條範夫監修『日本の城 名城探訪ガイド』(日本通信教育連盟)、「歴史と旅」平成3年7月号(秋田書店)他
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