89回目になりました。
今回は、千葉県の久留里城といきましょう。
久留里城は、房総半島で最も強大な勢力を誇った戦国大名・里見氏の居城です。
里見氏と小田原の北条氏との激戦の舞台となりました。
また、江戸時代後期の戯作者・滝沢馬琴の有名な小説『南総里見八犬伝』ゆかりの山城でもありますね。
久留里城へは1998年3月7日に登城しました。
別称は雨(う)城、霧降城、浦田城です。
久留里城は、木更津から小櫃(おびつ)川をさかのぼった房総半島の中央部にある城山山頂に築かれています。
伝承によると、1000年ほど前に平将門(たいらの まさかど)の三男・頼胤(よりたね)が築いたのがスタートです。
しかし、一般的には甲斐(かい)の武田氏の流れをくむ真里谷(まりやつ)武田氏によって、真里谷城の支城として築城されたと考えられていますね。
どちらが事実なのか、わかりません。
別称で「雨城」と呼ばれるようになったのには、二つの伝承があります、
一つ目は築城のとき、三日に一度の割合で合計21回も雨に降られたという伝承。
もう一つは、敵が久留里城を攻めてくるときには必ず雨が降ってきたという伝承です。
戦国大名の里見義堯(よしたか)は、久留里城を攻略。
その後天文6年(1537)頃に新たに築城しました。
里見氏全盛の義弘の頃は、内房総(東京湾側)に海賊城を築き、浦賀水道の制海権を握るとともに、房総一帯を勢力下に置いていました。
しかし、豊臣秀吉の小田原北条氏攻めに遅参したため、秀吉に下総(しもうさ)や上総(かずさ)を没収され、安房(あわ)1国に戻されます。
天正18年(1590)に小田原北条氏が秀吉によって滅ぼされると、関東一円は家康の領地となりました。
大須賀忠政(おおすが ただまさ)が3万石で入城、さらに慶長7年(1602)には土屋忠直(つちや ただなお)が移封されました。
延宝7年(1679)の土屋頼直のときに改易となり、翌年、久留里城は一度廃城となります。
久留里領は大老だった前橋城主・酒井忠清の加増地となり、代官所が南麓に置かれました。
その後、寛保2年(1742)に上野(こうずけ)国沼田から3万石で黒田直純(なおずみ)が移封、要害堅固な近世城郭として久留里城を大改造しました。
現在残っている遺構のほとんどは黒田氏時代のものです。
以後、明治まで10代120年余り黒田氏の居城でした。
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黒田直純は、幕府から5千両の援助金を得て、久留里城を再建します。
直純が幕府に提出した「築城伺書絵図」によると、標高120~145mの尾根上に本丸、西側に離れて二の丸を置き、阿弥陀曲輪、天神曲輪、波多野曲輪などが取り巻いて配されていました。
北側に延びる細い尾根には幅10mの空堀のある曲輪がいくつも設けられています。
西側の山麓に、三の丸と外曲輪を置いて城の機能を集中させ、御殿、侍屋敷、武器庫などを配備。
内濠と外濠をめぐらせた梯郭式の縄張りです。
久留里城にはもともと天守と呼ばれる建物はなかったようです。
黒田氏が建てた二重の櫓が天守の代用でした。
その黒田氏によって再建された櫓を、古絵図などに基づいて本丸跡に昭和54年に建てたのが模擬天守です。
新しい模擬天守は天守台土壇保護のために、隣に建造されています。
一重目は黒い板張り、二重目が白漆喰総塗込めの二重三階望楼型独立式天守で、廻り縁が付けられている、古風な姿の天守です。
二の丸跡には城郭風外観の資料館や土塀が復興され、城郭の景観保持が図られています。
天守台土壇や本丸、二の丸、阿弥陀曲輪をはじめ城址の各曲輪の跡や土塁などもはっきりと残っていますよ。
往時を偲ばせる興味深い城址です。
現在城跡は城山公園となり、桜、紅葉の名称となっています。
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【私の房総半島城巡り】
1998年3月7日から1泊2日で春の房総半島を一周して、城巡りと鉄道を楽しみました。
7日の朝東京を出発して内房線で木更津に、そこから久留里線に乗って久留里城を探訪。
その後は木更津に戻り、房総半島を支配した里見氏の居城・館山城を攻城。
館山城には、桃山時代の天守建築を参考にして造られた模擬天守があります。
館山で一泊。
居酒屋で美味しい魚料理を堪能しました。
翌8日に外房線で大原に出ていすみ鉄道に乗り換え大多喜城を探訪。
大多喜城は、安房一国に封じ込められた里見氏を牽制するために、家康が本多忠勝に10万石を与えて築城させた城です。
その後、外房線で千葉に行きました。
模擬天守というより天守風建築物といったほうが正しいと思われる千葉市立郷土博物館の千葉城を探訪。
房総半島にある千葉県の4城を探訪して羽田空港から帰阪しました。
大変楽しい旅でした。
*久留里城詳細
・住所:千葉県君津市久留里
・営業時間:9:00~16:30
・休業日:月曜日※月曜日が国民の祝日にあたる場合は開館し、その翌日が休館/国民の祝日の翌日/年末年始 (12月28日~1月4日)
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【参考文献】
平井 聖監修『城 2 関東 もののふ集う東国の城』(毎日新聞社 平成9年2月25日発行)、『城 其ノ二』および『城 解説編』(日本通信教育連盟)、南條範夫監修『日本の城 名城探訪ガイド』(日本通信教育連盟)、西ヶ谷恭弘編『国別 城郭・陣屋・要害・台場事典』(東京堂出版 2002年7月15日初版発行)他
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