22回目は、NHK大河ドロマ『麒麟がくる』で有名な明智光秀の城、京都府の福知山城を探訪しましょう。
福知山城は平山城で、別称は横山(よこやま)城、掻上(かきあげ)城、竜ヶ城です。2017年に「続日本100名城」(第158番)に選定されています。
城ファンの中では「ここが最も好き」「こんな美しい城は知らない」「将来は福知山市民となって毎日お城を眺めて過ごしたい」という方がいるほど、美しく整ったお城です。
では、まず歴史から。
福知山城は、中世に当地を治めていた丹波の国人(こくじん)横山氏の居城で横山城と呼ばれていました。
天正7年(1579)織田信長に命じられて、明智光秀は丹波のほぼ全域を攻略し横山城も攻め滅ぼします。
丹波を与えられた光秀は、この地を丹波、但馬、丹後を押さえる要衝として重要視。
横山城を近世城郭へと大改修し、名前も「福智山城」と改めます。
明智光秀が敗死したあとは、何人か城主が交代します。
関ヶ原の戦いの後に移封してきた有馬豊氏(ありま とようじ)が城郭、城下町の整備に取り組み、福智山城はこのときに完成。
その後また城主が何人か交代して、寛文9年(1669)に常陸土浦城主の朽木稙昌(くつき たねまさ)が32,000石で入部し、200年間13代で明治を迎えます。
明智光秀は一般に「逆悪の将」「謀反人」と言われる武将ですよね。
しかも琵琶湖畔の坂本城主で戦に明け暮れ、福知山には僅か3年ほどの在でした。
しかし治水工事や地子銭(じしせん 宅地税)の免除など町の繁栄に努めたとして、この地では人気が高いです。
ちょっとしたヒーローで、現在は地元で観光協会のイメージキャラクター「光秀くんとひろこさん」になっているほどです。
光秀くん。可愛いですね。
福知山城の北西には光秀を祀る御霊(ごりょう)神社があります。
ちょっと謎なんですが、福知山藩祖朽木氏をはじめ有馬氏などの名を聞くことは余りないのはどうしてだろう?
明治まで200年、13代にも及んで地をおさめたのに…。
私が知らないだけだろうか。どなたかご存じでしたら、コメントなどで教えてください。
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福知山城へは1997年11月5日に登城しました。
由良(ゆら)川と土師(はぜ)川の合流点に近い福知山盆地中央に南方から突出している丘陵上にある平山城です。
城絵図でみると、本丸から順に二の丸、三の丸と連郭式の縄張りになっていたことが分かります。
野面積みの天守台の上に、初・二重目が同規模の二層の大入母屋に著しく小さな望楼を載せた三重四階の望楼型連結式天守です。
天守は初・二重目だけを下見板張りで覆い、その上は白漆喰塗、飾り破風などはなく、武者窓と鉄砲狭間がわずかにあるだけの武骨な天守です。
昭和60年(1985)に小天守(二重二階)、続櫓を外観復元。
翌年には市民の「瓦1枚運動」(※)などの熱意によって天守を外観復元しました。
内部は明智光秀に関する資料を中心に福知山市郷土資料館・産業館として利用されており、本丸付近は福知山城公園となっています。
※「瓦1枚運動」・・・市民に一口3,000円の寄付を募り、5億円以上を集めた
隅櫓のように見える唯一の現存建物は、二の丸の城門だった銅(あかがね)門の続櫓です。
銅門の番所として使われていましたが、大正5年(1916)に城址保存会の手で天守の裏の現在の場所に移築されました。
豊磐ノ井は天守近くに残る大きな井戸で、深さは50mにも達し、城郭内の井戸としては日本で最も深い井戸と言われています。
井戸の名前「豊磐(とよいわ)ノ井(い)」は江戸時代の藩主朽木氏の祖の神号からつけられました。
なお、近くに藩祖朽木稙綱(たねつな)公を祀った朝暉(あさひ)神社があります。
寛文(かんぶん)9年(1669)に創建され、昭和61年(1986)に現在地にうつされました。
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光秀は、福知山城の改修に当たって工事を急いだために付近の集落から五輪塔、宝篋印塔や梵字刻印の石塔や墓石まで徴発したと言われています。
石垣に転用石が使われた城郭は奈良県の大和郡山城や安土城などもありますが、福知山城ほど多く使われている城はないでしょう。
最近聞いた話ですが、福知山のある地域の人たちは明智光秀のことをとても悪く言っているとのことです。
その地域の墓石をごっそり持って行った、その人たちのご先祖を祀る大切なお墓の「墓泥棒」だからだと言っていました。
まあ、それはそうだと思いますね。
しかし、また光秀は寺社から石塔を徴収した際に、代替えの石材を渡したという話も残っています。
代わりをくれたらそれでいいって話でもないってことでしょうかね…。
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*福知山城詳細
アクセス:JR山陰本線・福知山駅から京都交通バスに乗り「福知山城公園前」バス停下車、徒歩4分/京都丹後鉄道宮福線・福知山駅から徒歩15分
営業時間:9:00 ~17:00
休業日:2021年1月11日(月曜・祝日)までは年中無休・2021年1月12日以降は12月28~31日、1月4~6日
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【参考文献】
平井 聖監『城 5 近畿 華と競う王者の城』(毎日新聞社 平成8年9月25日発行)、日本城郭協会監修『続日本100名城公式ガイドブック』(学研プラス 2018年5月7日第6刷発行)、全国城郭管理者協議会監修『復元イラストと古地図でみる日本の名城』(碧水社 1995年4月18日第1刷発行)、『城と城下町 西の旅』(日本通信教育連盟)『城 其ノ二』(日本通信教育連盟)他
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