108回目です!
月山富田(がっさんとだ)城は、戦国時代に中国地方最大の支配者であった尼子氏の居城です。
月山山頂に本丸土塁などが残る、典型的な中世の難攻不落の山岳城ですね。
月山富田城は、「日本100名城」(第65番)に選定、国の史跡にも指定されています。
別称は、月山城、富田城。
私は月山富田城へ、2003年6月23日に登城しました。
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月山富田城は、山間の広瀬町を一望するような形で台地状にそそり立つ標高197mの月山の山頂に築かれています。
断崖絶壁の砦が築かれているうえ、麓を外濠のように飯梨川(旧富田川)が流れている、月山そのものが天然の要害です。
広瀬町は中世時代には富田(とだ)と呼ばれていました。
出雲の政治、経済、文化の中心地だったのですね。
平安時代後期には、すでに城郭に類するものが築かれていたようです。
出雲の守護佐々木(京極)氏が、応永2年(1395)に守護代として一族の尼子氏を富田に置きます。
月山に山城が築かれたのは文明18年(1486)、尼子経久(つねひさ)が京極政高から独立した頃といわれています。
尼子氏は、応仁の乱を契機に勢力を拡大し、三代目の経久(つねひさ)の代に全盛期を迎えました。
経久は中国一帯を制圧。
東は因幡国、播磨国から西は石見国、備後国までの山陰、山陽11か国を領地とし、戦国大名として名を轟かせます。
月山富田城が戦国時代屈指の堅城として形を整え完成するのは、経久の時代だと考えられています。
月山富田城は中国地方の府城となりました。
中国の支配をねらう毛利元就は、天文9年(1540)に月山富田城への攻撃を始めます。
毛利軍は二度にわたる月山富田城へ攻撃をしますが、なかなか落城させられませんでした。
4代の義久が守る月山富田城は毛利軍の一年半に及ぶ攻撃になんとか耐えていましたが、永禄9年(1566)についに陥落。
毛利軍3万5千人の軍勢には耐えきれませんでした。
義久は安芸に幽閉されています。
その戦いの折、尼子十勇士の一人である山中鹿之介は、三日月を仰ぎ見て「われに七難八苦を与えたまえ」と再起を誓ったそうです。
同12年に織田信長の助力を得て、山中鹿之介は尼子勝久を奉じ、月山富田城の奪還を試みました。
しかし破れてしまい、ここで尼子氏は完全に滅亡してしまいます。
元就は30年余りの間、天野氏や毛利元康、吉川広家などを城代に置き、山陰地方の支配の拠点城とします。
しかし、関ヶ原の戦いの後、敗れた毛利氏は削封されてこの地方を失いました。
月山富田城へは慶長5年(1600)に堀尾吉晴(よしはる)が入城します。
浜松からきた堀尾氏は、出雲壱岐24万石の大大名です。
吉晴は入城すると、御殿も建造し、総石垣の近世城郭に大改修します。
現在山中御殿跡や大手口などに遺構として残っている石垣などは、毛利氏末期から堀尾氏の頃に構築されたものです。
しかし堀尾吉晴は、月山富田城があまりにも領地の東端であり険峻な山城で領国支配に不便だったので、慶長16年(1611)に新たに築いた松江城に移っていきます。
ここに、月山富田城は廃城となりました。
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山上の平削地に、本丸、二の丸、三の丸を連郭式に設置。
北西山腹に山中御殿平、花ノ壇を、さらに千畳平や太鼓壇などが階段状に続いて置かれている複郭式縄張りとなっています。
山中御殿跡は月山の中腹にある広い平坦部で、この曲輪に尼子氏の御殿が造られていました。
ここの石垣は雄大で、高さが約10mもあります。
三の丸、二の丸、本丸はここから七曲がりと呼ばれる険しい上り坂を登って行きますよ。
月山富田城では、低い石段を段々に積み重ねた「段築」という工法の石垣を見ることができます。
花ノ壇の発掘調査で見つかった建物跡に、掘立柱建物2棟(主屋と侍所)が復元整備されています。
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麓には安来市立歴史資料館があり、月山富田城の歴史に関する資料や城郭内で出土した遺物などが展示されています。
展示されている「富田城ジオラマ模型」は必見です!
堀尾氏時代の城を描いたと考えられている絵図を基に、現存する遺構や最近の発掘調査結果などを踏まえて、城郭研究家の三浦正幸氏(広島大学名誉教授)が復元設計をしていますよ。
いかにすごい山岳城だということがわかります。
城址から下りてきて、ここで管理をしていたおじさんからいただいた麦茶が冷たくて大変おいしく、とても嬉しかったことを思い出します。
*月山富田城詳細
・アクセス:JR荒島駅からイエローバス(広瀬行き)20分、市立病院前下車、山麓まで徒歩10分 / JR安来駅よりタクシー20分
・営業時間:24時間
・休業日:なし
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【参考文献】
日本城郭協会監修『日本100名城 公式ガイドブック』(学習研究社 2007年7月3日第1刷発行)、中井均監修『読んだら話したくなる日本の城』(日本実業出版社 2010年6月20日初版発行)、『城と城下町 西の旅』(日本通信教育連盟)、『城 其ノ三』及び『同 解説編』(本通信教育連盟)、『戦国の堅城Ⅱ』(学習研究社 2006年1月10日 第一刷発行)他
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